懐かしさを堪能する
横浜美術館「オランジュリー美術館コレクション:ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」へ行きました。
「美術館へ行く」ということにポジティブな感覚があるので、なぜ行くのか?そもそも行きたいのか?と自問しました。「自分の中の誰がそれを求めているのか?」という問いかけです。
探っていってみると、私はこの展覧会に行きたくて、それはなぜかというと、オランジュリー美術館が、西洋の絵画が、私は懐かしいんだということがわかりました。なので、懐かしさを存分に味わうことにしました。
古い話になりますが、1980年代はじめ、私はパリに住んでいてオランジュリー美術館によく通っていました。今は、印象派の作品の多くはオルセー美術館にありますが、当時オルセー美術館はまだなくて、オランジュリー美術館にたくさんの印象派の画家たちの絵が展示されていました。
私は、マネの笛吹き少年の絵が大のお気に入りで、美術館に入って、階段を下った突き当たりにあったその絵に直行していました。それから他の印象派の絵を見て、笛吹き少年に挨拶をしてから帰る・・というのがコースだったのです。
今回のオランジュリー展はその時期よりも後に追加されたコレクションも含めた展示です。
展覧会に行ってみると、絵画に描かれているもの(風景、建物、街並み、景色、木立ち、空、光)の懐かしさや、馴染み深い感じに包まれます。描かれているのが初夏であればカラッとした涼やかな風を、冬であればジメジメした暗い天気を思い出します。額に入って展示されている絵自体にも懐かしさがあります。
懐かしさをなぜ求めるのか?と考えてみたものの、あまり洞察は進まず、とりあえず、懐かしさを堪能し尽くしました。
今回の展覧会では、思わず立ち止まって絵の前でかなりの時間を過ごした作品がいくつかありました。それらからは、新鮮な空気感や透明感、沸き立つ生命力、力強さなどを感じ、しばらく味わいました。記憶している絵の前では、懐かしく立ち止まり、いま、また改めてその絵を見て、絵から伝わってくる空気を味わい、また次の絵に視線を移していく、、というように展示そのものもかなり堪能しました。
そんな中、今回、今まで考えたこともなかったことを考えました。それは、ポール・セザンヌの静物画の解説によってもたらされました。その解説によると、セザンヌは当時マイナーだった静物画を描きながら「りんごでパリを制服する」と言っていたそうなのです。私は、吹き出してしまいました。
セザンヌの絵のあのトーンから、そんな野心など微塵も感じないからです。でも、その解説からいろいろな想像が膨らみました。当時の画家たちの「認められたい」というパターンや「自分のほうがすごい」というパターンは容易に推察できます。印象派の絵はとても明るく、軽やかで、きれいです。実は、あの筆致に画家たちの凄みや勝負にかける思いが潜んでいるのかもしれないと思うとちょっとゾクっとします。
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