好き、だから
バレエ教室が始まる少し前に到着して、ストレッチをしていると、一人の生徒さんがお見えになりました。実はこの方、いつも私から視線を外し、挨拶を交わさない方で、私が挨拶をしても、斜めに「はぁ・・・」と会釈をして通り過ぎるんです。怖がられているのか、嫌がられているのか「？？」なのですが、私のことが苦手そう。このタイミングで居合わせてしまって、なんだか申し訳なくなりました。
今回も視線を外されたので、私は黙々とストレッチをしていました。でもなんとなくその日は、この方について知りたいと思い「○○さんはー、こちらのお教室はどれくらい続けられているのですかーーー？」と、いきなり、でも静か〜にたずねました。「長いです」とのお答え（笑）。「そうですか、長いんですか・・。長く続けるモチベーションって、なんですか？」と私。するとその方が「好き、だから？」と、語尾をやや上げながら、澄んだ瞳でしずかに答えました。（会話をするときは、私の目を見て話されていました。）
私は清々しいものを感じて「そうですか！好きだから続けてるんですね！それは素敵なことですね」と答えました。そうするとその方は笑顔になって「音楽を聞きながら体を動かすことって楽しいし、もくもくと筋トレってつまらなくないですか？（とたぶん私に話題をふりつつ・・）、何かでしょんぼりして落ち込んでも、レッスンをすると元気になるし・・ストレス発散・・・」と続けました。そこへ、先生や他の生徒さんもお見えになり、会話は終わりました。
私は、この方に話しかけてみてよかったと思いました。もしかしたら嫌だったかもしれないけど、きっと好きなバレエのことだったから、よくお話しくださりました。挨拶を斜めに通り過ぎる以外のこの方を知ることができたし、「好きだから」という純粋な理由が私の胸の中に心地よく響きました。
