尊厳の空気

尊厳の空気

2020年07月22日 08:53

「バレエレッスンに、あなたみたいな人がいて、周りに迷惑じゃないの?」と先日、母から不思議そうに聞かれました。
そうだよねぇ、、そう思うよねぇ。でもね、バレエをやってる人たちって、そういう風に人のことを見ていないんだよー。だいたい、迷惑だったら先生は言うし。先生がまず、足がここまでしか上がらないなら、それでいい。足を高く上げることよりも体の中をこうやって意識していたい・・って教えるの。頭、目線、肩、指先、顔、体の中、腕、脚、、、それぞれ同時にやることをやりながら・・と話しました。
バレエって、その人を、受け入れています。
身長、柔軟性、脚の長さ、それぞれ違うし、そこに “尊厳” があるのだと思いました。先日《魂の道場》で学んだことを受けて、私は、そう理解しました。
バレエの先生は、自分の先生(お母様)に「あなたはバレリーナは無理」と子供の頃に言われたのだそうです。厳しく聞こえるその意見も、たぶん「尊厳」だったのだと思います。
一人ひとり違うという事実があって、そこに同じように、脚はこの位置まで上げるとか、体はこの位置まで反らせるとか、指先は床から何メートルの位置とか、無理です。伝説のダンサーがこうだったから同じようにするとか、ナンセンス。
あなたの5番、でいい。足がここまで重ならなくて、いい。重ねようとするよりも、からだ全体をこういう風に意識していたい。あるがままの自分を受け入れた上で踊る・動く・生きる。そのことを身を以て体験するのがバレエ教室です。
もっと言っちゃうと、バレエの先生は、”今日” のその人を受け入れます。前回とは違う “今日” のその人の状態を見て、認めています。”今” のその人をちゃんと認めている。レッスンはそこからスタートします。
バレエ教室には、他人をジャッジする空気がありません。それは “尊厳” の空気だと思います。