マダムとよばれて
電車の中で、フランス人のビジネスマンが二人、目の前に座りました。二人ともスマホを片手に、止まる駅を確認しているようでした。
行き先に不安げな二人に追い討ちをかけるように、われわれが乗っている車両は次の駅で切り離される、というアナウンスが日本語でのみ入りました。
次の駅が近づき、人々が降りる雰囲気を察知した彼等は「え?!なに??」という表情になりました。なので私は「すみません、、、この車両はこれより先には行きませんので、前の方の車両に乗ってください。」とフランス語でお伝えしました。
そのとき「ああ、そうなんですか!メルシー、マダム」と言われました。それを聞いて、安心したのと同時に、嬉しさが湧き上がりました。
というのも、フランス人は、礼儀の正しさを大事にしますので、女性でそうした常識を身につけていないと見れば「マドモアゼル」と呼びます。私は「マダム」と呼ばれ、レスペクトされたようで、嬉しかったのです。
ほんの一瞬の出来事でしたが、お行儀の良いフランスの空気を久しぶりに感じました。