現実を認識できないとき
電車で、二人の男性(27、8歳?)が言いがかりをつけあっています。とても険悪な雰囲気で「・・・降りろ・・・」とか聞こえてきます。最近よく耳にする "お客様同士のトラブル" かと思います、目の当たりにしたのは初めてです。
駅に電車が停まり、二人が降ります。ところが、電車の扉にギリギリの場所でにらみ合っているものですから、扉が締まらず、電車は動きません。しかし私自身は、電車が動かないことよりも、ケンカがさらにひどくなったらどうしようという心配でいっぱいになってました。
そこへ、私の並びに座っていた割とガタイの良い男性(34、5歳?)がすっく!と立ち上がり、「ドアが締まらないから、もっとそっちでやって」と二人をホームのほうへ押しました。
その時です!もめている二人が「ハッ!」となり、その男性に「あ、スミマセン」と頭を下げ、謝りました。無事に扉は締まり、電車は動き出しました。二人の男性の雰囲気からは、そこで切り上げるとは思えず、たぶんにらみ合いを再開し、もしかすると殴り合いに発展したかもしれません。
それにしても、、「ドアが締まらないから、もっとそっちでやって」という的確な言動に私は感心しました。二人がそこに立っているために電車が動かない、その事実だけを見ていると思うからです。
私はと言えば、心配・不安・恐怖で、とてもじゃないですが、もめている二人に何かを言うということはできませんでしたし、その二人のせいで扉がしまらないという現実も、まったく認識できていなかったです。
感情や感覚で自分の中がいっぱいになるときというのは、現実を受け止める余裕すらなくなるんだ、、と思いました。