この世を支配するのは、、、
歌舞伎座で『マハーバーラタ戦記』を見ました。
舞台の美しさ、音楽の素晴らしさに感動。また、セリフも哲学的で好みなものでした。
冒頭、この世を支配するのは慈愛か、力か。神々が議論し、人間に課題を与えます。実際に支配するのは、慈愛なのか、力なのか、試してみたらよい、と。
人間界では終わりが始まっていて、大きな戦が起ころうとしています。カルナという太陽神の子(つまり「日本人」のこと?)は、「力によらず、慈愛で戦を止めよ」と忠言されます。一方、アルジュラという帝釈天(戦の神)の子は「勝利を求めて戦をしてはならぬ」と戒められます。
領土が欲しい、お金がほしい、人よりも豊かになりたい、人よりも名を残したい、そういった執着が争いのもと。己を捨てて我を見つめよ。我は万物のはじまり。生まれも死にもしない。我は不滅。内なる我を目覚めさせよ!
たびたびこのような神様からのお告げがあります。
黒パターンの権化のような王女ヅルヨウダは、人をだまし、陥れ、散々なことをやって、子や親を殺された人の悲しみや恨みを思い知るがいい!!と叫んで、戦の最中に息絶えます。
さて、この世を支配するのは慈愛か?力か? 力によらず、慈愛で戦を止めることって、できるのでしょうか。
自分の中の慈愛を大きく育てていくしかないんだよなーーー。
途方に暮れつつ、向かう先を見据えつつ、広大なスペクタクルの余韻ととともに帰途についたのでした。