『沈黙の声』
『沈黙の声』という小説『沈黙』に関する遠藤周作のエッセーを集めた本を読みました。
私が印象に残っているのは、遠藤周作が母親を亡くす日のことです・・・(記憶で書きます。この通りではないかも。)
お母さんが亡くなるその日も、反抗期だったのか「一緒に遊ぶな」と言われていたお友達の所で遊んでいて、でもどういうわけかそこで遊んでいることはバレていて「お母さんが大変だから」と電話があったそうです。
それでも母親は病弱だったのでそれほどのこととも受け止めず、寄り道をしながらようやく家に着いた時に「お母さんが亡くなった」と "馬鹿な中学生にもわかるように" 言われたのだそうです。
母親が亡くなった悲しみはもしかしたらすぐには感じなかったかもしれません。自責の念やうしろめたさや自分の愚かさを呪っただろうし、そんな自分が嫌になっただろうし、深い深い感情が渦を巻いていたのではないでしょうか。
遠藤周作の作品に見られる登場人物の心境に対する深い洞察はこうした体験から得られているのかも、と思いました。
遠藤周作がクリスチャンになったのも、お母さんにそうさせられた部分が大きかったようです。
現代に生きる隠れキリシタンの子孫たちのことや『沈黙』というタイトルに関する秘話も書いてありました。
読みやすく面白い本でした。
▼自分と向き合い〔今のそのままの自分を愛すること〕を目指していくセッションを行っています。