ひとの気持ちが聴こえたら

ひとの気持ちが聴こえたら

2019年09月02日 08:10

『ひとの気持ちが聴こえたら』(ジョン・エルダー・ ロビソン著)を読み終わりました。
この本で、私は自閉症について間違った解釈をしていたことがわかりました。「自閉症の人たちは感情や感覚を感じることができない」と思っていたのですが、実はそうではなく、それらを抑圧する力が大きいということです。感じ過ぎてしまう傾向もあるようなので、自分の身を守るための一機能としての自閉症であるようにも思えてきます。
でも、様々な症状があるので、自閉症の全てについてそう言えるものでもないのかもしれません。著者のロビンソンさんに関しては、上述の捉え方が当てはまったようです。
著者は研究機関で実験的な治療を受けながら、徐々に変わっていく自分に戸惑いながらも、感情や感覚が意識に上ってくることを体験します。
感じなくしていくことで(思考優位にすることで)本当に感じなくなるというのは、私自身、経験したことがあるので、そこから、どういう感じなのかを感じるということの戸惑いは想像ができます。胸のあたりであらゆる感情が弾け、私自身はそれは生き生きとした感覚として受け止めました。
著者はやがて、人と関われるようになったり、大勢の人の中で仕事をしていても大丈夫になっている自分に気づいたり、以前は感じずに済んでいたものを感じるようになってそのことに耐えられなくなったりしていきます。
講演の動画でも、彼は話しています。「ずっと社会から疎外されているようだったし、孤独だった。エンジニア、自動車の修理工、本の執筆、こうした仕事は全て一人でやったこと。でもオバマ政権でも、今はトランプ政権でも、自閉症支援策のアドバイザーとして35人のメンバーと多くの協力者と共に仕事をしている。グループの一員として、初めて会う人々とも関わっている。」そのことが大きな喜びになっているのが伝わってきます。
疎外されている状態から、周囲の人々と関わりながら仕事をしていくようになる彼のシフトからはホッとするものも伝わってきて、緊張が解けていくような柔らかさを感じます。
また、それはエゴ(パターン)優位の、パターンの世界に囚われたコミュニケーション不全の状態から、周囲との健全なコミュニケーションによる人々との関わりへと移っていく、自分自身の自己探求プロセスとも重なります。
▼”Look me in the eye” という本を出した頃の著書。弟さんが撮影したビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=BIZsYGxXHis
▼その後、実験的な治療を経て、比較的最近の著者による講演
https://www.youtube.com/watch?v=3sCReEWBvYM
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▼自分と向き合い〔今のそのままの自分を愛すること〕を目指していくセッションを行っています。
https://jiseijuku.com/session/