「坐る女」
久しぶりの国立西洋美術館で、くまなく絵画を見て周って、最後に目にしたのはなんと藤田嗣治の作品「坐る女」でした。「うぉ・・・!!(これが今日私が最後に見る絵なのか)」と思わず呟きました(笑)
圧倒的な色香。金箔の背景には2羽のキジ(?)が描かれていて、まるで琳派の屏風です。手前に女性が横長に座っています。女性の姿勢からすると背もたれがあったはずですがそこまでは描かれていません。女性が着ているワンピースは、その生地のふわっとしたやわらかさが伝わってくるようです。さらさらとした触覚を覚えます。
私は藤田嗣治の絵が好きです。でも、全てが好きなわけではなく、例えば近代美術館で見ることができる、茶色と黒と赤で画面ビッシリに描かれている戦争の絵は好きではありません。なので視覚的に心地良いもの、きれいなものに限られます。
そのなかで私が魅かれるのは細やかな筆致(ほそ〜〜〜い線と墨の濃淡)から漂う独特の空気感です。