「柝」の音(きのね)
先日、歌舞伎座の<團菊祭五月大歌舞伎>に行ってきました。
襲名もあり、役者の子供たちも舞台を踏んで、未来・これからを強く感じました。代々(だいだい)継いでいくって、ものすごいパワーを感じます。日々その日の公演に携わる誰もが大変な努力をしているわけで、その一瞬にかける思いの強さに感動します。道を究めるってかっこいい!
私にとってそのかっこよさを象徴しているのが「柝」(き)です。時を知らせたり、舞台転換や幕引きの合図に使われる拍子木のことです。独特のキレのよい澄んだ響きが、私は大好きです。あの音は場の空気を変えます。
「柝」が1回、強く打たれれば、劇場全体に潔さが張りつめます。幕引きにちょんちょん・・・と軽く打たれれば、それは終演の合図なので、それまで見ていた芝居の余韻を味合わせてくれるような感じがあり、その響きは優しいです。
言ってみれば打楽器なので打ったその瞬間にしか聞こえないわけですが、それは歌舞伎の今とこれからをずーっと支え続けることに違いはありません。私もあの「柝」の音のように潔く日々を究めたい!!そう、思います。